ナチュラルワイン

パリのワイン文化を語る上で見逃せないのがベルシー地区。17世紀、地方よりセーヌ川を経てパリのワイン文化が花開いた場所です。パリチャンでは日本で業界最注目のナチュラルワインや今も残るかつての雰囲気を楽しんでいただけるベルシー地区ツアーをご用意しております。

さて、ここではその「ナチュラルワイン」に焦点を当ててご紹介しましょう。


サンテ!(乾杯!)

ワインの文化は中世より継承されてきました。当時は敵に毒を盛るために使用されることも多く、王など位の高い人々はリスクを避けるため、乾杯でグラスを鳴らす際に自身のグラスから相手のグラスへ、相手のグラスから自身のグラスへとワインを注ぎ合い、信頼の証として視線を合わせながら飲むようにしていました。そうすることでお互いに毒を盛ることを防いだのです。

長い歴史の中でこの風習は途絶え、現代ではより安定した品質、味わい、色合いを保つため様々な添加物が使われるようになりました。それによってワインの生産・供給が安定し安価になったことは言うまでもありませんが、この流れとは正反対に添加物を一切使わず、丁寧に地道に自然と向き合い「生きたワイン」ことナチュラルワインを追求する生産者たちがいます。

彼らはワインヤード(畑)の改革に乗り出しており、自然や地質に耳を傾け、伝統農法と最新の技術のより良いバランスを探りながら日々挑戦を続けています。フランス国内のみならず、遠く日本でもナチュラルワインの市場が成長し続けているのは彼らのたゆまぬ努力の結晶なのです。

フランスのワインの輸出量は世界一で、その額は800万ユーロに上ります。生産量は世界の16%を占め、55万8000人がワインに関わる仕事に従事しています。ワインを目的にやってくる観光客は1000万人。ごらんの通り、世界一のワイン大国なのです。

一説には、日本人1人当たりの平均年間ワイン消費量3リットルに対し、フランス人は44リットルと言われています。(なんと60年代のフランス人は100リットル飲んでいたとか!)しかしながら、日本はフランスに次いで二番目に多くソムリエを輩出しています。また最高級ワイン「グラン・クリュ」の消費量はフランスより日本の方が多いというのも驚くべき点です。

ウコンの力が手に入らないフランスで、二日酔いのリスクを最小限に抑えながらもアルコールを楽しむならナチュラルワインが最適です。

ナチュラルワインは自然界への尊敬や命も一緒にボトリングされています。確かに「生きている」のです。生産者たちは化学的な材料や工程を避け、創設者Jules Chauvetのナチュラルワインの定義に従い、一つ一つを完璧に丁寧に生産しています。

そんなナチュラルワインもかつてはヘキサゴン(フランスの呼称)やワイン業界から敬遠される存在でした。今日のナチュラルワインはOeno Connexionや Cosmojun や Racinesといった日本の輸入商の働きもあり、成長を続けています。例えばRacines、人気ワインメイカーClaude Courtoi氏の有名なワインにちなんで名づけられたこの輸入会社は2003年に合田泰子さんによって設立され、約450,000本ものナチュラルワインをフランスから買い上げています。またフランス国内でも非常に評価の高いプロデューサーの一人Mark Angeli氏のワインの1/4を日本に輸入・販売しています。

ナチュラルワインは日本と非常に良好な関係を築いてきました。それは生産者たちの気質が日本人とよく似ているからかもしれません。品質にこだわり、偽ることをせず、勤勉に働くその姿を信頼し、先物買いされることもしばしばあります。
またCornasにはナチュラルワインを生産している日本人、大岡弘毅さんがいらっしゃいます。厳しいワインメイカーの世界で信頼と実績を築いた彼は、現在フランスだけでなく日本でも生産を試みているようです。

数ある生産地の中で何から試そうか迷ったら、安定した人気を誇る南仏産はいかがでしょう。 Ardèche(大岡さんのワインヤードがある地域)や Anjou、Roussillonなどがおすすめです。
またパリ市内でナチュラルワインを飲める場所をお探しなら、専用のアプリRaisinを使ってみましょう。位置情報を利用して、世界中から2500ヶ所を超えるレストランやバー、ワインセラーを調べることができます。(例えばDomaine Lapierre や Jean Foillardなど)

ワイン用語Vocabulary

Terroir テロワール: ワインヤードの土壌。ブドウの種付けから収穫される瞬間までを過ごす、まさにワインにとってゆりかごのような存在。テロワールの質、環境はワインの味ワイに大きく影響するため、ブドウの質と同じくらい重要視されている。

Grape ブドウ: ブドウは品種によって同じ問題点を抱えており、その品種ごとに必要なケアと特性が違って同じ土壌になじまないこともしばしば起こるため、細やかなメンテナンスが必要とされる。

Winemaker 生産者: 彼らが最も細心の注意を払っているのが土作り。健康なブドウを育てるため、長い時間をかけて限りなく化学物質のない上質な土壌を作る。それによってブドウが病気にかかるリスクも伴うため、時に1年を無駄にすることもある。

Winemaking ワイン作り: ブドウは成熟して収穫されると、まず種を抜いて圧搾、浸出させたのち発酵へと進む。

Inputs 添加物: 化学物質や添加物は一般的なワインを作る様々なプロセスで使用される。例えば防腐剤、安定剤、着色料…細かく問えば50もの添加物が挙げられる。

Sulphites 亜硫酸塩(二酸化硫黄): ワインに限らず多くの食品に転嫁されているこの物質は、見た目、品質を保つのに大変便利であると同時に非常に厄介な物質でもある。ワインを生産する上で硫化は多かれ少なかれ発生し、これらが主な二日酔いの原因とも言われているが、ナチュラルワインはこの物質を含んでいない。(まれに極微量の硫黄が検出されることはある。).

Yeast 酵母: ブドウ糖がアルコールへ変換するのを助け、この働きによって素晴らしいアロマが生まれる。

Organic wine オーガニックワイン: ブドウに化学的処理を行わず、亜硫酸塩の数値が100~150mg /ℓ であると認証を受けたワイン。

Biodynamic wine バイオダイナミックワイン: ルドルフ・シュタイナーが提唱したバイオダイナミック農法に従い、農薬や肥料の使われていない生命力のある土壌でブドウを育て、酵母の使用も畑のためだけに限定、含有される亜硫酸塩は 70~90mg /ℓ であると認証を受けたワイン。